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創業61年。押上の純喫茶「カド」でスカイツリーを気にしない店主と過ごすひととき

2019/02/05

2019年も、残り11ヶ月になった。ついこの間「ハッピーニューイヤー!」って大騒ぎしたのに、もうチョコレートをどうにかしないといけない日がやって来るなんて。時が経つのが早すぎる。こんなんじゃ死ぬまでが秒で終わる。

 

最近、時の流れの早さにメンタルをやられている私が、61年も押上で純喫茶を営んでいる「カド」に、取材に行くことになった。61年も経ったら、時の流れはどうなってるんだろうね。

 

カドって名前だから、ちょっとだけ「本当に角にあるのかな…?」なんてワクワクしながら向かったら、マジで「角」にあった。

 

押上の純喫茶「カド」は、61年の歴史を重ね続ける空間

 

 

61年間、押上にあり続ける「カド」。二代目の店主、宮地さんがこの店を継いでから、26年が経った。

 

店主の宮地さんは、お店について「親が遺したものを維持しているだけ」「継げって言われたから、継いだ」と、笑顔で語ってくれる。

 

 

お店に入った瞬間に目が奪われる絵画たち。この絵画が、カドの雰囲気を演出していると言っても過言ではないだろう。

 

飾っている絵は毎年入れ替えている。「去年は60周年で重ための絵だったから、今年はちょっと明るめの絵を飾った」そうだ。右から2番目の絵はピエロと女性がちょっとしたプレイをしているように見えるのだけど、ある意味明るめだよね。ウンウン。

 

 

店内には、長年使っているモノが多くある。時間が経って壊れたモノは買い直すのではなく、店の世界観に合うように、自分の手で直してきた。それも全て、父が遺してくれた店の世界観を保つため。

 

 

机や天井に描いてあるバラの絵も、宮地さんが自分で描いたもの。東日本大震災で少し壊れてしまった部分を、1年かけて修復していったそう。「『カド』という世界をそのまま残していきたい。」宮地さんの強い思いが伝わってきた。

「カド」の人気メニューは、ジュースとくるみパン。健康に良い!

 

カドの人気メニューは、「蜂蜜、アロエ、セロリ、パセリ、グリーンアスパラ、レモン、リンゴ」が入った凄まじく健康に良い生ジュースと、「くるみブルーベリーのなすモッツァレラサンド」。二つ合わせて1,000円と、お値段も良心的。

 

全粒粉のパンに、生ジュースはイギリス式。イギリスの朝食だと思ってくれれば良い」とのことなので、気持ちをイギリスのベッドに持っていく。イギリス人の気持ちで、生ジュースとパンをいただこうかしら。

 

 

大きくて、ボリューム満点!チーズがビヨーーーンとしているわ!中にはトマトも入っていて、一口食べたらトマトのみずみずしさと、チーズの塩分が最高にマッチ。なすも美味しくて、最高の朝食よ!メルシー!!

 

 

ミキサーで、ゴウンゴウンゴウンと作ってもらった生ジュース。セロリが苦手なので、鮮やかな緑すぎて「めちゃめちゃセロリ味なんじゃないか」と、少し不安だった。すこーしね。

 

気合いを入れて、ストローを突き刺す。ひとくち。めっちゃツブツブ。これが生ジュースか、と感動。少しだけ不安だったセロリ要素も、風味だけ。味はフルーツ感が強くて美味しい!

 

ひとくち飲むだけで、一気に健康になった気がするジュース。毎日飲んでたら、体が強くなりそう。お腹がいっぱいになってしまったら、包んで持って帰らせてくれる。神!

 

カドの歴史とスカイツリーと、ブレない世界観

 

 

カドに行くための最寄駅は、押上。押上といえばスカイツリー!という単純な脳をしているので、「スカイツリーができて、何か変わりましたか?」と聞いてみた。

 

スカイツリーがある方のことはわからない。気にしていない。客層が少し変わったくらい。何も気にしていないから、今のカフェ事情も知らない。昔、『ここは純喫茶じゃない!』と言われていたのに、今では純喫茶。流行を気にしないで、世界観を崩さないように続けるだけ。パンケーキとか出てきたら、おかしいでしょう?」

 

世界観を維持するためには、どれだけ流行が変わっても、流されずにブレない気持ちが大切だと、教えてもらった。また、

 

「昔は、料亭上がりの人が良く来てくれてた。席がいっぱいのときは『カド』で待ってて、席が空いたら料亭から電話がかかってくる。取り次ぐのも仕事だったんだよ」「お酒の飲み方、商売人の仁義は浅草の旦那衆に教わった」など、当事者しかわからない、歴史あるお話も。

 

ちょっとキワドイ話もしてくれたけれど、「生きてる人に迷惑をかけたらいけないから!」とのことなので、私の心の中に留めておく。墓場まで持っていきましょう。

 

 

本当に角にある「カド」。いつまでものんびりまったりしたい、居心地の良い空間だった。

 

きっとこれからも続いていくお店だから、これからもずっと一緒に過ごしていく人との「共通の思い出」にぴったり。ぜひ大切な友人や家族、子孫と共に行ってみてほしい。私も子孫をつくることができたら、また子孫を連れていきたい。

 

100年後になりそうだな。わはは。

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この記事を書いた人

吉川 真緒

フリーでライター、カメラマンなどをしている吉川真緒です。趣味は酒と女。最近のマイブームは麦焼酎と日本酒。人生の中心はアイドル。酔っ払うとねむくなるタイプです。

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