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夜の浅草探訪 第4回 デザイナーのためのコミュニティバー「FLAT」に潜入してみた!

2018/05/07

どうも、ふつかよいのタカハシと申す。

最近は飲兵衛コスパ悪すぎ問題につき4リットルウイスキーのボトルを自宅に常備氷と炭酸水で割る穏やかな日々を過ごしているタカハシであるが、言わずもがな「たまにはバーに行きたいなぁ」という日も存在する。
だが、自宅の片隅で圧倒的な存在感を放つボトルにさよならを告げて家を飛び出すにはそれ相応の覚悟が必要な訳で、よほど特別なバーでもなければタカハシは1ミリたりとも動く気がないんである。


...「動く気がないんである」じゃないわ。どあほう!!!!
このままでは自宅ハイボール廃人ことタカハシが完成してしまうぞ。
ボトルを捨てよ、町に出よう!!!(酒の神からのお告げ)



急な酒の神からのお告げに動揺が隠せない自宅ハイボール廃人一歩手前のタカハシであったが、そんな私を救ってくれるスペシャルなバーが浅草に存在するとの情報を聞きつけ、心して潜入を試みることにした。何やら、デザイナーのコミュニティバーとしての機能を果たすスタイリッシュな場所らしい。


大丈夫か。そんな場所にタカハシ足を踏み入れてもいいのか。3秒で逃げ出したくなるのではないか。

そんな恐れが出ていたのか、到着前、盛大に道を間違え背後から編集長に声をかけられた時はそんじょそこらのカエルに負けないくらいの大ジャンプをキメた。
(タカハシの苦手なもの:地震 雷 急な物音・声かけ)(まじで飛び退いた)(編集長、その節はガイドありがとうございました)


気を取り直して、道が分かり我を取り戻したタカハシ、脳内BGMは大音量でポーカー・フェイス(byレディ・ガガ)。あっという間にクールモード★タカハシに変身だ。


それでは行ってみよう!!!!レッツ!!!!ASAKUSA〜〜〜〜〜〜!!!!!



◼️「FLAT」

じゃがじゃんっ。こちらが浅草駅から徒歩約10分ほどで到着する「FLAT」。


同店が始まったきっかけは、2015年冬。

同じシェアハウスで、お互いデザイナーということもあり親交があったマスターのツモマーさん(写真左)と日置さん(写真右)がスタートさせた。

「非日常が味わえて、同僚以外の横つながりの仲間探しができる場所」というコンセプトがあれば、少し遠くても足を運んでくれるのではないかという仮説を元に、あえて駅から遠い場所を選び、浅草のアートスポット「Gallery HATCH」1階のバーを間借りしたそう。

一般的なバーとは違い、コミュニケーションの取りやすさを重視し、スタンディング形式をとっている。


実は人見知りなタカハシ、ATフィールド全開で「人見知りでもふらっと1人で来て大丈夫ですかねぇ」などと怯えながら尋ねてしまったのだが、「うちらの方が人見知りじゃないかな」と軽やかに笑うツモマーさんと日置さん。

 

デザイナーか、デザインに興味がある人が訪れているということもあり、「何のデザインをやっていますか?」という話題から会話がスタートすることが多いそうだ。



...いや〜共通の話題があるって強いなぁ。あれだな、偶然飲み屋で隣り合わせた人が出身地一緒だったりすると何か意味もなく盛り上がっちゃうあの現象だな。
「あの場所、変な看板ありますよね〜!!ハハハ〜!」なんつって(※結論:初めて来た方もウェルカ〜〜〜〜ム!!!!!安心して話せるぞい〜)


自身もデザイナーを対象としたイベントや勉強会に参加していたが、
情報をインプットすることよりも、「同じ事柄に興味がある仲間を増やす」ことを目的としているデザイナーが多いと感じていたツモマーさん。

「でも、イベントや勉強会での懇親会の時間って、長くても15分から1時間程度。それで得られるものがあんまりなかったんですよね。だったら、『デザイナーが集まって交流することに特化した場』をつくろうと思ったんです」(ツモマーさん)

また、「今のレベルだと入社できる会社が限られる」「フリーランスになるには10年かかってしまうのでは」等、今後のキャリアについて悩みを抱えるデザイナーはとても多い。

そんな中、知人の紹介でフリーランスのデザイナーを務めていた師匠と出会い、未経験からデザイナーとしてのキャリアを歩み始めたツモマーさんはこう語る。

「師匠からデザインの基礎を懇切丁寧に教えてもらった経験が今の仕事に活きていて。だからこそ、『自分も同じようにできたら』と思ったんです。

でも、1人だけにたくさん時間を割くことは難しいから、そういうマインドをデザイナー界隈に広められたらなと。

みんなが同じ想いだったら、もっとデザイナーの世界が優しくなって、良い意味で楽に仕事ができたり、その人にとって最適なキャリアも見つかるかもしれない。

そして、デザイナー全体のレベルが上がれば、デザインの力で日本はもっと注目される。医療、経済、経営、全てに対しての水準が上がって、更に良い国になっていくのではないかと感じたんですよね」

 



店名である「FLAT」には、
①人と人との間に壁がなく、全員平等(=フラット)な空間をつくりたい。
②デザインについてある程度理解をしている人であれば、「ふらっと」訪れることができる場所にしたい。
③同じ位置(平ら=フラット)にいる人同士が出会い、0から何かを一緒につくっていけるような関係性が築ければ。

という3つの想いが込められている。

初心者であろうが、プロであろうが、関係ない。
みんなが同じ目線で話せる場所をつくることで、たった1人との出会いで人生が変わる瞬間が、いくつも、いくつも生まれる。

第1、第3土曜日しか営業せず、大々的なプロモーションは一切しない」という同店に足繁く通うデザイナーが増えている理由は、きっとそこにあるのだろう。

訪れれば、必ず自分に応えてくれる人と出会える。仲間になれる。
人から人伝いに評判が広まり、同店には絶大な信頼が寄せられている。

不思議な求心力を持っているから、否応無しに引き寄せられてしまう。
「また来たい」「次もゆこう」と自然に思う。考えるより前に、一歩足が動き始める。

そんな場所が、ここ、FLATなのである。



▲プロジェクトマネージャーは日置さん、クリエイティブ部門を担うのはツモマーさんと、しっかり役割分担されている。(※同日、フロントマンを務めるトッティさんはお休み)

「短期的に捉えれば、毎日または毎週営業した方がお店の利益にはなるのでしょうが、それでは来店される方が手を動かしてアウトプットする時間や、プライベートな時間を奪ってしまう」(ツモマーさん)という想いから、あえて営業日は月2回に固定。今のところ、増やす予定はないとのこと。
そのレア感が、更なるファンを増やす魅力となっているのかもしれない。


プロモーションをTwitterでの営業日の告知に留めるなど最低限にしているのは、「仲の良い人や信頼できる人伝いに情報を広める」ことを大切にしているから。顔が見えないSNSから積極的に情報発信するのは極力控えている。「あくまでもお客さんが主役。僕らはそれをアシストする立場でありたい」
「『また遊びに行くよ』と言われても『タイミングがあえば来てください』と答えるくらい。こちらからも『是非遊びに来てください!!』という営業は一切しません」(ツモマーさん)


▲店舗ロゴやメニューは、スタイリッシュなイメージが伝わりやすいよう、洗練されたミニマルなデザインに統一。



同日も、開店早々混雑していた同店。最近は常連・新規の方が半々くらいの割合で訪れている。
例え満員になっても、可能な限り全員を迎え入れるスタンスを貫いているそうだ。



▲余談だが、当日はオリジナルカクテルをいただきながらノリノリで取材を進行したタカハシ。
(※良い子は真似しないでください)
「InDesign CC」「Lightroom CC」など、デザイナーが使うお馴染みツールを冠した"デザイナーズカクテル"は同店でしか飲めないとっておきだ。


▲一番人気は、「PHOTOSHOP CC(700円)」。
グレープフルーツをベースにテキーラ、ブルー・キュラソー(オレンジリキュール)を加え、ビットマップを演出した、爽やかながらもパンチの効いた1杯。気分はハワイの海でバナナボート!!!!


▲こちらは、「HAKUSHIKI(1000円)」。名前の通り、"全ての経験"をイメージしてつくられており、パイン・グレープをベースに、ミントとスピリタスを加えている。クールに見せかけて、最後にしれっとダンディな強さを発揮してくるイケメンカクテル。
個人的には大好きな1杯である。ギャップ萌えってやつだ。


▲ちなみに、スピリタスの度数は世界最強・95度〜98度と言われている。
その抜群な破壊力により、編集長は同店にmyカメラを置き去りにした。
酔いをさますために小休止で遠くを見つめているが、どうやらあまり意味がなかったようだ...
(※みなさま、忘れ物には十分お気をつけて!)


▲COREZO編集部、これでもかと酒を飲むの巻。
締めは「ILLUSTRATOR CC(700円)」。オレンジ・アマレットにコアントロー(スイーツに使われるリキュール)を加えた1杯。ほんのり甘さが漂いながらも、さっぱりしているので飲みやすい。温泉に浸かった後のように心穏やかになるカクテルであった。女性にぴったり。



今後の展望としては、「今のところ、デザイナーが集まるバーがないので(2018年5月現在・ツモマーさん調べ)、うちを基準にしてくれる競合が出て来たら嬉しいですね。デザイナーの集まるバーの概念をオープンソース化して、どんどん盛り上げていけたら。浅草・蔵前で活躍しているプロダクトデザイナーさんにも、もっと来てもらえたらと思っています」というツモマーさん。

それだけにはとどまらず、FLATを知ったきっかけや、実際に訪れた印象をお客様に聞く「カスタマージャーニー」を通し、来店しているデザイナーのデータ収集・ユーザーリサーチも進めているそうだ。
データが蓄積したら、デザイナーのための施設開発に役立てたり、自分たちのマネタイズにも活かしていきたいとのこと。

デザイナーたちが喜び、感じ、思考できる新たな居場所・空間を築くべく、試行錯誤を重ねる同店。その試みに、今後も目が離せない。


 

<FLAT詳細>
住所:東京都台東区浅草6-1-16 hatch 1F
営業日:第一・第三土曜日(※オープン日はTwitterで告知あり)
Twitter:@flat_asakusa
HP:http://flat-bar.tokyo/
※こちらは、オープン1周年記念で開設したもの。常連さんや、来店されている方の雰囲気が分かるので、是非一度チェックしてみてほしい!

 





 

 

 


 

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この記事を書いた人

ふつかよいの タカハシです。

ふつかよいのタカハシです。三度の飯より酒を愛しています。
イッセイミヤケの販売員を経てアパレルメーカーの営業職に転職、その後フリーライターに。
COREZO!ASAKUSAを通し、ディープな浅草の魅力を発信していければと思います。
Twitter:f_y_takahashi